乳がん自己検診のすすめ
最近、芸能人の方が乳がん手術を受けられたことで、「乳がん」という病気が一層身近な病気で、他人事ではないと感じられた方も多いと思います。
ニュースが報道されて以降、当クリニックにも乳がん検診や専門外来の予約に関する問い合わせが多くなってきています。
もちろん、乳がん検診は年1回のペースで受診されることをおすすめしていますが、月1回の自己検診(セルフチェック)を実施することも、早期発見にとても重要な役割を担っていることをご存知でしょうか?
乳がんは、自己検診ができる唯一のがんと言われています。早期発見の秘訣は「自己検診」の習慣を身につけることです。そして乳がん検診を定期的に受けることにあります。
乳がん検診を受ければそれで十分なのでは?と思う方も多いかもしれませんが、人それぞれお肌の状態が違うように、乳腺の状態も人によって違います。初めてあなたの乳房を触診する医師よりも「いつもの乳房の状態を知っている」あなたのほうが、乳房の異変をいち早く発見できることも多いのです。
そのためにも自己検診を行って、普段からの自分の乳房の状態を知っておくことがとても重要なのです。
■ 自己検診の方法
毎月、生理がはじまって5~7日目に行うのがベストタイミング。(この時期乳房の痛みや張りがなくなり異変を発見しやすい時期だからです。)また婦人科手術で生理のない人や閉経後の人は、毎月一定の日を決めて実施しましょう。
【視診】
① 鏡の前に自然な状態で立ち、両方の乳房をよく観察する。
・左右の乳房の形や輪郭の変化はないか。
・皮膚にえくぼやひきつれ、しわはないか。
・乳頭から異常な分泌物はないか。
②両手をまっすぐあげたり、頭の後ろで手を組んだりして同じようにチェックする。
③両手を腰に、肩と肘を前に押し出すようにして、さらに同じようにチェックする。
【触診】
仰向けになり、片方の肩の下に座布団などを敷いて乳房を平らにします。
④腕を下げた状態で乳房の外側半分を指の腹でまんべんなくチェックする。
⑤腕をあげた状態で乳房の内側半分を指の腹でまんべんなくチェックする。
この自己検診で、乳房にしこりや乳頭からの異常分泌物等、何らかの異常所見をみつけたならば、ためらわずにすぐ専門医に受診しましょう。癌ばかりを心配せずに、専門医の適切なアドバイスを受けて安心することも大切です。
当クリニックでは、自己検診のすすめとして「自己検診の方法と自己検診記録表」を作成してお渡ししています。気になったことや変化を詳しくその都度記録し続けると、乳房の変化が経過と共に具体的に分かります。また医療施設で受診する際、緊張して言葉で上手く伝わらないときにも、記録を見せれば診断に大きく役立ちます。